DW / DW5000TH&AH“DELTA”

■重量:約2kg
■付属品
・CP401Lシングルペダルバック(ツインペダルはハードケース)
・六角レンチ
・トゥストッパー
・ビーターバランサー
・BDフープガード

DWの5000シリーズと言えば現在のフットペダルの大定番、その人気はもはや不動のものです。
1980年に、世界で初めてチェーン&スプロケットドライブ機構を搭載した5000CXがデビューし、高い評価を受け続けると、その5000CXをベースにどんどん進化を続け、偏心カムの“アクセレレーター”やボールベアリングヒンジとアンダープレートを搭載した、“DELTA”シリーズが生まれました。

今でこそ、ツインペダルもアンダープレート付きペダルも珍しい存在ではありませんが、もとを辿っていくと実はDWに行き着くんですよ。
すごいですね。

しかし、そんな数々の歴史を作ってきたDW5000シリーズの元祖であるオリジナルモデルが惜しまれつつも遂に廃盤となり、新たにヒンジ部をボールベアリング内蔵型に変更したDW6000シリーズとして生まれ変わる事になりました。
5000だったものが6000になるのは、5000シリーズを愛用しているドラマーにとってはちょっと寂しい気もしますが、そのモデルチェンジを機に、なんと日本だけの特別仕様として、シングルチェーンの5000ペダルにアンダープレートが付いた、元祖DELTAシリーズが復活する事になりました。

今回は、このアンダープレート&シングルチェーンの傑作、DW5000TH&AH、“元祖DELTA”をマニアックにご紹介いたします。

review 2010/6/24



DWペダルまめ知識

いつものペダルにもっと愛着が沸いてくるかも?!


初代CXペダル


この頃は本当に自転車から取ってきたかのような・・・・まん丸カム

ペダルのアクションは大きく分けて、ダイレクトドライブ・チェーンドライブ・ベルトドライブという3つの駆動方式と、それと組み合わせるカムの形状が軽快さやパワフルさに大きく関わってきます。

フットペダル界の革命児としてDWの名を世に広めたのは、真円カムとシングルチェーンドライブのCXというモデルですが、この自転車のギアのようなカムは、踏み込みのパワーをロスすることなく正確に打面をヒットする事が出来て、それまで主流だったベルトドライブでは得にくいパワーの乗りやすさと遊びの少ないアクションの安定感で一躍人気となりました。

このペダルの登場以降、チェーンドライブが主流になると、DWはさらに世の中のニーズをいち早く見極めて、アンダープレート付きのペダルを世に送り出し、これが見事に大ヒットします。
アンダープレートは、ペダルのポスト部分を台座となる鉄板と合体させることで、踏み込みのパワーロスがほぼ無くなり、もともと軽快だったアクションを殺すことなく圧倒的にパワーアップさせる事に成功しました。今でこそ、当たり前の仕様ですが、その後の各社のペダル開発に大きな影響を与えた事は言うまでもありません。

その後90年代に入ると、ベルトドライブやダイレクトドライブで主流であった、偏心カムの軽快なアクションとチェーンドライブの安定感・パワー感をMIXした、“アクセレレーターカム”も登場し、現行モデルと同じく、真円カムの“TURBO”、偏心カムの“ACCELERATOR”トラディショナルな“NYLON STRAP”という3種類のアクションが確立され、さらにヒンジ部分に高精度なベアリングを搭載したロングセラーモデル“DELTAシリーズ”が生まれます。

そして、これ以降世界中でさらにたくさんのドラマーがDWの信頼性と実用性を実感し、
『良いペダル=DW』というイメージもすっかり定着します。
 

断然軽快!!

シングルチェーンの魅力


 シングルチェーンとダブルチェーン

DELTAシリーズも、現行モデルは3代目のDELTA3となりますが、DELTA2以降はパワー志向の時代の流れもあり、フットボードを少し幅広くしたダブルチェーン仕様になります。

ダブルチェーンとシングルチェーンの大きな違いは、アクションの初動のフィーリングやスピード感にあります。
どちらが良いかというのは、やはりドラマーの好みや音楽スタイル、セッティングで異なるため一概には言えませんが、今回の初代モデルの復活で、同じDW5000でも選択の幅が広がるのはとても嬉しいことです。

DW5000TH&AHは、元来シングルチェーンが主流のDWが爆発的に広まるきっかけを作ったといっても過言ではない非常に完成されたアクションが魅力です。
踏み込みの軽さ、ビーターが打面をヒットするまでのスピード感、踏み込んだパワーが素直に伝わるナチュラルなメカニズム、フットボードの戻りのスムーズさは、それこそ、最上位機種である9000や8000にはない、DW5000のシンプルなオリジナルアクションの素晴らしさです。

やっぱり、“シンプル is Best”なのかもしれませんね。
 

どっちを選ぶ??

ターボ VS アクセレレーター


 ターボ


アクセレレーター

 

THとAHの違いは、カムの形状のみ。これもどちらが優れているというよりは単純に好みの問題です。

真円タイプの“TURBOターボ”カムは、ストレートにパワーが乗りやすいのが特徴で、打面をヒットする瞬間までビーターのストロークを確実にサポートしてくれるような安心感があります。とてもバランスの良いアクションで、さすがは世界を唸らせただけの事はあるなぁ。。と、つくづく納得させられるカムです。


“ACCELERATORアクセレレーター”カムは、スプロケットの回転軸を中心からずらして設定してある、いわゆる偏心カムです。この初期設定位置の違いだけで、真円カムのTURBOよりも、ヒットポイントが極わずかに手前側に移動するので、アタックまでのスピードが増したような、まさにアクセルを踏み込んだような印象を受けるのが特徴です。
遠心力がシャープに感じられるので、ウッドビーターなど重めのビーターとも相性がよく、ベルトドライブ式のようなダイナミクスに忠実な操作感を得やすいのも特徴です。
 

小ネタ

標準装備の2WAYビーターについて 

DWのペダルに標準装備の2WAYビーターは、便利な部分もありますが、ハッキリ言って、バランスは大分プラスティック面に寄っている事に気が付くと思います。

主にフェルト面を使っていると言う方は、ぜひ一度、普通のフェルトビーターに交換して使ってみてください!!

アラッ??と思うぐらい、別世界でより快適なアクションが得られるはずです!!
 

おまけ

 DWペダルに多い故障ランキングTOP5!!

 

DWに限らず、どんなに素晴らしいアクションのペダルも定期的に手入れしないと、やっぱり調子が悪くなったり、思わぬタイミングで壊れてしまったりとトラブルが起こります。車ほど精密な作りではありませんが、自転車みたいなもんだと思って日頃の手入れをしておけば、ずっと長く使えるものです。当店で多い修理のご相談はこんな感じですが、あなたの愛機は大丈夫?_?
 

NO.1 ヒンジとヒールプレート周辺のネジ
最も多いのはこの部分、ダメになったヒンジを交換しようとして、硬くなったネジを外そうとネジ山を崩してしまうトラブルです。
DWの場合は、ネジが振動で抜け落ちないように予めネジ溝に接着剤を使ってネジを固定しています。硬いネジには、まず5-56などの潤滑剤を吹きかけたり、それでもダメなときはドライヤーなどを使って少しネジの周辺を暖めて、ネジに付いている接着剤を溶かしてから回すようにしてみてください。ネジ山にピッタリ合ったドライバーを使うのもポイントです。

ビーターハブNO.2 ビーター留めネジ
『最近、ビーターが緩みやすくなったなー。。』と思ったら、このネジの交換をお奨めします。ただし、抜けやすい状態のまま使っていると、ビーターを留めているネジの先端が潰れて変形してきてしまいます。さらに、この状態になると、変形した部分が引っ掛かって抜けなくなり、無理に抜こうとすると、ビーターハブ(ビーターを差し込むパーツまるごと)もダメになってしまいます。ご注意を。

NO.3 ビーターアングルのローラー
気が付きにくい部分ですが、実は結構な負担が掛かる部分です。ここにもベアリングが内蔵されていて、長い間使っているとベアリングが潰れてきたり、ゴミやホコリを巻き込んで回転が鈍くなったりしてきます。たまに外してチェックしてみて下さい。

消耗したカムNO.4 スプロケットの磨耗
この部分もチェーンとの摩擦で磨り減ってくる事があります。摩擦を軽減する為に、グリスアップをして、チェーンとギアの馴染みを良くしておくことをお奨めします。また、斜めに足を置いてペダルを踏んだりという奏法の場合もこの部分が消耗しやすくなります。
実は結構高いパーツなので、ダメになるとツライです(涙)
 

NO.5 フープクランプのネジ
この部分も長い間放っておくと、ネジが硬くなってきたり、ゴミやホコリを巻き込みやすい部分でもあるので定期的にクリーニング&グリスアップしてあげてください。ビーター留めネジと同じく先端が変形してきたら交換の目安です。

DWパーツブックはコチラ!!

 

DWの5000シリーズは、今のところ基本的な構造やパーツ類のモデルチェンジはほとんどないので、現行のパーツをずいぶん古いモデルのペダルにも使えたりするのが、素晴らしいところでもあります。
これを機に、“今DWのペダルを愛用してるよ〜!!”という方も是非愛機の状態をチェックしてあげてくださいね。

その他の部分でここが気になる・・・と言う方は、DWのパーツブックを参考に調べてみてください。