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ハービーメイソン Special ドラムクリニック Vol.2 レポート


12月2日午後4時少し前に、Drums Proshop GATEWAY に顔を出したハービーは、店内の商品を楽しそうにチェックし、クリニック用のセッティングに追加したいシンバルとスネアをさらっと要望。

その後、会場であるGROOVE WORKSHOP 5F Studio(エレベーターは無い!)に到着するや否やDrumSetに腰を下ろした。前回、98年に行われたクリニックVol.1ではFOURPLAYで来日していたため、アメリカから持ってきたハービー自前の楽器は物凄い音を出していたが、(Kickはなんと22"x22"、5Fまで運ぶのが大変だった)  今回はKickの口径が小さめの20"x16"のレンタル楽器

彼は、軽くSettingを整えると、すぐさま叩き始めた。 その瞬間、前回の記憶が甦って来ると共に「そうだ!やっぱりこの音だ!」Kickの口径や楽器の違いがどうの・・・なんて言う事は、どうでも良くなってしまった。(もちろん違いはあるが・・・)それより何より、ハービの音、紛れもないまさしく「ハービーメイソンの音!」繊細で余裕があって、且つ Fat で Warm な音。「うわぁ・・・! ハービーメイソン万歳!!」

しばらく叩くと今度は Sound Check のためにマイナスワントラックに会わせてPlay。Drumだけでもぶったまげてたのに、曲の中でDrumPlayし始めた瞬間「・・・・・・!!!!」なんだかマジックを見ているようだった。この時のことを、文章にするのはとても難しい!言葉になりっこない、「音楽そのもの」だった。ものすごい躍動感!またしても 「ハービーメイソン万歳!!」状態だった。
クリニックのリポートにリハーサルの事を書いて良いのかと悩むが、実はこのリハーサルが僕を一番驚かせ、 僕にとって、この日の一番のハイライトはこのリハーサルだった!

そして、いよいよクリニック本番。
やや緊張気味の受講者の間をすり抜けるようにして、Setに座ると、「ウォーミングアップをしよう」といいつつ Solo Play。思いつくまま自由に泳いで行くような演奏は、後にQ&Aで言っていたが、「始めのPlayからインスピレーションを受けてそれを発展させ、次にその発展したものをPlayし、そこからまた展開して行く。」 ・・・!。さすがだ!この説得力!すごい!

次にFOURPLAYの最新作「yes,please!」のマイナスワントラックに合わせて数曲を披露。 CDではDrumの音がタイトでパリッとした音に仕上がっていたが、 中低音豊かな、迫力のある音だった。CDは全体的にさらっとした Smooth Jazz という印象だったので聞き流してしまっていたが、 こうやってDrumだけでも生で聴いてみると、改めてその素晴らしさを実感。

受講者とスタッフ全員を圧倒しつつ,3曲のデモ演奏を終えると、"Any Question?" の一言で、やにわにQ&Aコーナーの開始!次から次への熱心な質問ひとつひとつに対し、丁寧で的確なアドバイスと、実際のプレイを示しながらの、質疑応答が繰り返されたのだが、前回同様、かなりハイレベルな質問が多く見受けられたのが、印象的だった。このコーナー中盤の時点で予定終了時刻を軽くオーバー!

このコーナーで彼は"コントロール"について力説していた。

  • 自分の手足をコントロールする
  • 自分の出す音をコントロールする
  • 自分自身をコントロールする

ことがとても重要であると。
「自分の出す音は1音のゴーストノートに至るまで完全にコントロールされている。 テクニックの修得は一通り終え、特にここ数年はテクニックにとらわれることなく音楽を演奏する事が出来ている。」
「レコーディングでSoloを求められたことはほとんど無かった、ほとんどの場合シンプルにビートを刻む事を求められてきた、スタジオで長年仕事を続けてこれたのは、自分自身をコントロールし、求められた事を提供する事が出来たからだ。」

技術的な事については、

  • バズロールの際にも、常にビートを意識する事。
  • ダブルストロークの2打目にアクセントを置いて練習すると良い。
  • バスドラムがビートをプッシュしている様に聞こえるなら、それは足がコントロールされていることから来ている。
  • 足も手と同様にコントロールする必要があり、そのために手と足をそろえるエクササイズが有効で、足の出す音に対しても、その音価の正確さを意識する事が重要。

最も得意とするビートを叩いて欲しいという要望に対しては、「1つといわれると悲しい、私は色々なビートが好きで、色々な音楽を聴くようにしてきたから。」
シンプルな8ビートで16ビートのフィ―ルを感じさせるにはどうしたらよいか、という質問に対しては、「分からない、聴衆がどう感じるかまではコントロールできない。」
もっとも影響を受けた人は、という質問に対しては、「今まで多くの人に影響を受けてきたが、他の誰かになろうとした事は一度も無かった。」 といった事も、僕にはかなり興味深かった。

18時に始まったハービーメイソン Special ドラムクリニックVol.2は休憩をはさむことなく、なんと20時過ぎまで続き、最後にはアンコールでもう一曲演奏し、盛り上がりに盛り上がってクリニックは幕を閉じた。受講者の皆さんや僕達スタッフはもちろんだが、、ハービーメイソン自身も大変楽しんだクリニックだったようだ。
終始見せてくれた彼の笑顔が、その事を物語っていた。

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